今日は夫と一緒に、奈良の信貴山 朝護孫子寺へ行ってきました。
山道を登りながら、日ごろ話せなかったことをぽつぽつと話すうちに、不思議と心がゆるんでいくのを感じました。
本堂から見下ろす景色は、静かで荘厳で、胸の奥に澄んだ風が吹き抜けるようでした。こうした場所に立つと、「今ここに生きていること」そのものが、ありがたく思えてきます。
私たちがふだん感じている焦りや不安、将来への心配事――それらは、まだ起きていない未来のことに心が飛んでいる状態。
でも、今日のように景色を眺めて深呼吸してみると、ちゃんと“今の自分”を感じられる。
それが、心を整える第一歩なのだと改めて思いました。
なかでも印象的だったのは、戒壇めぐり。
真っ暗な回廊の中を、手探りで歩きながら、願いを胸に秘めて進んでいきます。途中で「錠前」に触れられたとき、心にふっと浮かんだのは、夫の笑顔でした。
「この人がずっと笑っていられるように、私は何ができるだろう?」
そんな問いが自然と湧いてきて、願いの言葉も変わっていきました。
「何を手に入れたいか」ではなく、「どう在りたいか」。
そんな“願いの質”が、自分の中で少し変わったように感じます。
これは、私が日々学び、伝えようとしているコーチングにも通じることです。
人はつい、「もっと◯◯になりたい」「これが足りない」と足りない部分に目を向けがちですが、本当に大切なのは「今の自分の心の声を聴くこと」。
焦らず、急がず、自分の深いところにある思いに耳を澄ませたとき、次に進むための小さな一歩が自然と見えてくるのだと思います。
信貴山で過ごした今日という一日は、そんな“心を整える時間”になりました。
日常に戻っても、この感覚を忘れずにいたい。
そして、誰かの心が少しでも整うようなお手伝いが、これからの私の仕事になれば――そう願いながら、帰り道を歩きました。
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